
「ヴァンヌーボ」とは、高級印刷用紙(ファインペーパー)の銘柄のひとつです。
ヴァンヌーボは、紙本来の手触りや豊かな風合いに加えて、高い印刷適性を併せ持ち鮮やかな色でも再現可能という特長を持っています。
デザイン性と印刷適性を兼ね備えた使い勝手の良さから、多くのデザイナーたちからも高く評価されています。
ヴァンヌーボ(Vent Nouveau)とは、色や質感に特徴のあるファインペーパーである高級印刷用紙の銘柄のひとつです。ヴァンヌーボは、フランス語で「新しい風」という意味です。
紙本来の手触りや豊かな風合いに加えて、インキの乗りや色の再現度、印刷のしやすさなどの高い印刷適性を持ち、鮮やかな色でも再現できるという特長を持っています。
このように、デザイン性も印刷適性も兼ね備えている使い勝手の良さから、多くのデザイナーからも高く評価されています。
先にもお話しましたように、ヴァンヌーボは紙本来の手触りや豊かな風合いが特徴的な用紙です。紙の表面には細かい凹凸感があり、空気を多く含んでいることから軽くてかさ高です。これが心地よい触感と上品さを演出してくれています。
また、ヴァンヌーボの最大の特長とも言えるのは、その印刷適性の高さです。一般的に、ヴァンヌーボのように風合いが豊かな用紙のほとんどが非塗工紙で、インキが用紙に染みこむことで発色が沈む傾向にあります。しかしながらヴァンヌーボは、わずかではありますが塗工処理を施していることにより、インキの乗りが良く、鮮やかな色や光沢感を再現することが可能となっているのです。
先述しましたように、ヴァンヌーボは紙の中に空気を含むため、一般的な用紙よりも厚みが出ます。同じ連量帯であっても、コート紙などとは印象も異なります。そのため、印刷会社から用紙サンプルを提供してもらい、実際に触れて質感を確かめてみることをおすすめします。
ヴァンヌーボの代表的な厚みをご紹介します。

それぞれ、
連量130kgはチラシや冊子の用紙に。
連量150kgは名刺や各種カード類、冊子の表紙に。
連量195kgは名刺や各種カード類に。
このような用途で使われることが多くなっています。
ここで、連量という言葉を簡単に解説します。
連量とは、用紙の厚さを表す単位のことです。ある規定サイズの用紙1,000枚を1連とし、この1連あたりの重さのことを表しています。同じ用紙であれば連量が重いほうが厚手の紙ということになります。また、同じ連量であっても、用紙の種類によって厚みが異なります。
連量に関する詳しい内容は「連量とは?」をご覧ください。

ヴァンヌーボは、名刺やショップカード、チラシやカタログ、ポストカード、会社案内、招待状などその用途は多岐にわたります。ヴァンヌーボは、異彩を放ちたいときや、高級感を演出したい場合など、デザイン性を重視したい印刷物によく用いられています。繰り返しになりますが、質感に風合いのある用紙はたくさんありますが、鮮やかな色でも表現が可能なヴァンヌーボなら、写真を大きく扱ったデザインなどにも多く活用されています。
このほか、比較的厚みのある用紙ですので、名刺などのようなカード類に用いることで、より高級感漂う雰囲気を演出してくれます。
ヴァンヌーボは、さまざまな用途に応じてシリーズが展開されています。
【ヴァンヌーボVG スノーホワイト】
ヴァンヌーボシリーズの中でも、特に印刷適性が優れており、人気のある銘柄です。「VG」とはビジュアル・グロスを意味しており、印刷部分のグロス感で鮮やかな色でも再現することができます。また、ヴァンヌーボの種類の中では最も白色度が高くなっています。
【ヴァンヌーボVG ホワイト】
ヴァンヌーボVG スノーホワイトよりも白すぎない、自然な白色が特徴です。
【ヴァンヌーボV スノーホワイト】
ヴァンヌーボの元祖とされる銘柄です。VGシリーズに比べてややグロス感を抑えた仕上がりになります。白色度は高く、際立つ白が特徴的です。
【ヴァンヌーボV ホワイト】
ヴァンヌーボV スノーホワイトに比べて白すぎない、自然な白色が特徴です。
【ヴァンヌーボV ナチュラル】
ヴァンヌーボVシリーズのカラーバリエーションの一つで、ホワイトよりも生成りがかった色が特徴的です。
しばしばヴァンヌーボと比較される用紙に「アラベール」があります。アラベールも、紙らしい風合いや高級感を持つ点においてはヴァンヌーボと似ていますが、以下のような点が異なります。
【色の印刷再現度】
ヴァンヌーボとアラベールの最大の違いは、色の印刷再現度です。ヴァンヌーボは塗工処理が施されていることで、鮮やかな色に対しても高い再現性を保持していますが、その一方でアラベールは非塗工紙であるため、発色がやや沈む傾向にあります。そのため、写真などの色の再現度を重視したい印刷物を作成する場合は、ヴァンヌーボを選ぶと相性が良いと言えます。
【用紙の手触り】
これまでもお伝えしてきましたように、ヴァンヌーボはわずかではありますが、塗工紙であるのに対し、アラベールは非塗工紙です。したがって、ヴァンヌーボの方がわずかながら表面が平滑できめが細かいのに対して、アラベールはより凹凸感を強く感じるでしょう。
【価格】
一般的に、アラベールに比べてヴァンヌーボのほうがやや割高であることが多くなっています。それぞれ、用紙としての性質が異なるため、価格で用紙を決定できるものではありませんが今後の参考として覚えておくと良いでしょう。
アラベールに関する詳しい内容は、「アラベールとは?」をご覧ください。
今回は、ヴァンヌーボについて解説してきましたが、いかがでしょうか。
ヴァンヌーボは、個性を出したいときや高級感を演出したい場合におすすめの用紙です。ヴァンヌーボをご希望の用紙の選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
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