
紙と湿度の関係についてお話します。
紙は空気中の湿度から水分を吸収・放出します。これにより、湿度が高くなると用紙は伸び、低くなると縮むという性質を持っています。
今回は、用紙の伸び縮みに関するメカニズムや対策について解説していきます。
紙は空気中の湿度から水分を吸収・放出します。これにより、湿度が高くなると用紙は伸び、低くなると縮むという性質を持っています。
工場で作られる紙は、繊維方向がまばらになるよう作られます。しかしながら、それでも伸縮は免れません。
たとえば、縦目A全判(新聞紙と同等サイズ)の上質紙の場合、長辺流れ目方向に0.1㎜~0.2㎜、短辺方向に0.05㎜~0.1㎜程度伸びることがあります。紙の種類によって影響の差はありますが、印刷の現場においては湿気は大敵と言えます。
紙の伸び縮みのメカニズムを解説します。
《紙が吸湿によって膨張する》
⇒湿度が高い場合、紙の原料である植物性パルプ繊維が水分を吸水し太くなるため、紙全体が大きくなります。
紙の主な原料である植物性パルプは、親水性であるため、水分に対してとても敏感に反応を示します。水分が与えられることで、縦向きに約3%以下、横向きに対しては約30%も膨張するとされています。※単繊維の場合。
《紙が放湿によって収縮する》
⇒湿度が低い場合、紙に含まれている水分が空気中に放出され、繊維が縮むことで、紙全体が小さくなります。
このように、紙は湿度に敏感であり、さまざまな変化を起こします。そのため、印刷現場においては、「紙はいきもの」と言われるほど。代表的なものが紙ぐせ不良トラブルです。その中でも「波打ち」「おちょこ」および「カール」が主な不良トラブルです。

湿度変化によって、紙ぐせ不良トラブルが発生します。中でも代表的なものが、「波打ち」「おちょこ」および「カール」です。これらの現象が発生するのは、空気中の湿度と積層紙の紙間湿度との相対湿度が変化するからです。具体的に、10~15%RH以上になると発生する可能性が大きくなります。紙の周辺が吸湿あるいは脱湿することで、その周辺部分に局部的に伸び縮みが起こるのです。これらは印刷時における見当狂い、あるいは印刷ジワなどの原因となってしまいます。
なお、紙1枚全体に対して均一に吸湿・脱湿した場合には、紙の全体的な伸び縮みは発生するものの、局部的な伸び縮みは起こらないため、「波打ち」や「おちょこ」、「カール」は発生しません。
紙の「波打ち」とは、湿度が高いことによって紙が空気中の水分を吸って、部分的に伸び波状になることです。積層紙の紙間湿度よりも、周辺の空気中の湿度が高くなった時に発生しやすくなります。波打つことで、シワが発生したり給紙不良が起こります。特に梅雨の時期の高湿環境下に紙が保管されているケースや紙の水分が低すぎる低紙間湿度状態の場合に発生しやすくなると言われています。
印刷時、波打ちの場合は、発生した波打ち部は、印圧によって紙の中央部からくわえ尻部に寄せられてしまうことで、その部分にかけてシワが入りやすくなってしまいます。
一方で、紙の「おちょこ」とは、逆に湿度が低いことで乾燥し、紙が空気中へと水分を放出されて、四隅が反り返ってくる現象のことを言います。紙の隅がせりあがっている状態が、盃状の形になるため、「おちょこ」と呼ばれています。紙から水分が放湿されることが原因で特に乾燥した冬場に、紙の持っている紙間湿度よりも周辺の空気中に含まれる湿度が低すぎる場合や、低湿環境下、紙の湿度が高すぎる場合に発生します。また、湿度が低いことによって、静電気も発生しやすくなります。
印刷時、おちょこの場合は、紙の隅がせりあがっているため印圧によって寄せられたシワは、くわえ尻端部に到達できず、紙の中央部にシワが入りやすくなってしまいます。
紙の「カール」とは、紙が湿度変化や機械的応力によって湾曲する現象のことです。すなわち、紙が一方向に丸まる状態を指します。
カールは、「構造カール」と「巻ぐせカール(巻きカール)」とに大別されます。
「構造カール」は、水分カールとも呼ばれ、紙のワイヤー面またはフェルト面のいずれかへカールする現象のことです。紙の表裏による構造や水分の差によって伸縮の度合いが異なるために発生します。したがって、湿度変化によって紙が伸縮しても、表と裏とも同程度伸縮する場合には、カールは起こりません。
また、表と裏のどちら側にカールをするかという点に関しては、「伸びの小さい側」ないしはその逆に「縮みの大きい側」にカールをするという基本原則があります。そして、その程度は表裏の伸び縮の差が大きいほどに大きくなります。構造カールの場合、一般的にカールの軸はマシン流れ目の方向ですが、場合によっては流れ目に直角な方向や、ねじれてカールすることもあります。
「巻ぐせカール(巻きカール)」とは、紙シートが巻取紙管の回りに癖がつくほど固く、長期間巻きつけられたことにより発生することが多くなります。剛度の大きい厚紙ほど生じやすく、そのうえ巻芯に近いほどその程度は大きくなります。つまり、湿度に直接関係なく、物理的な要因で発生する現象なのです。この場合、シートデカーラー等を設置し紙をしごくことで改善されます。

紙の伸縮によるトラブル防止のため、さまざまな工夫があります。今回ご紹介するポイントを意識することで、印刷ミスや加工不良による廃棄コストを大幅に削減できます。
紙の保管に関して、最も重要な対策は、保管場所の湿度管理です。一般的に、紙にとって最適な環境とされるのは、「温度20〜25度」「湿度50〜60%」とされています。そのため、外気の影響を受けないように、空調設備に近い場所や窓際、シャッター付近での保管は避けることが重要です。また、床に直接置いたりせずに、パレットなどを活用し、下からの湿気もしっかりと遮断することも有効です。
製紙メーカーから届けられた紙は、防湿性の高い包装紙(ワンプ)で包まれています。包装紙を開封した時点から紙は周囲の環境に馴染もうとして伸縮を始めます。そのため、紙を使用する直前まで開封を控えたり、使い残した紙は再度ワンプで包む、ストレッチフィルムで密閉するなどの習慣をつけるようにしましょう。
紙にも、実は繊維が並んでいる方向があり、これを紙目と呼びます。紙目は、縦目(T目)と横目(Y目)に分かれます。紙には、繊維が太い方向に伸びやすいという性質があるため、印刷や製本をする際には、「どの方向に伸びても影響が少ないか」を考慮して紙を選ぶ必要があります。具体的には、折加工を施すパンフレットは、折る線と紙目を平行にすることで、伸縮による割れやシワを防止しやすくなるでしょう。
紙目に関する詳しい内容は、「紙目とは?」をご覧ください。

先ほど、印刷現場では「紙はいきもの」と言われているとお話しましたが、それほど湿気に弱いことで知られています。しかしながらその一方で、その親水性を活かすことで紙の再利用が可能となります。そのため、管理不足による紙の品質不良にとどまらず、企業経営コストや環境負荷にも影響を与えかねません。
紙が伸縮してしまうことで、使われなくなった場合、そのまま「事業系廃棄物」となります。また、印刷のやり直しが発生することによる、インク代、電気代、人件費、そして廃棄費用が二重にかかってしまうことになります。
紙が湿気を吸い過ぎることにより、カビが発生したり、角な伸縮により表面が劣化してしまった場合、再生紙の原料としての品質が落ちてしまう可能性が高くなります。リサイクルを前提としているなら、紙の伸縮を極力抑えるために、丁寧に保管しておく必要があります。
紙と湿度の関係について解説してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
紙の湿度により伸縮性は、自然素材ゆえ避けられない特性です。ただ、正しく管理することによって、対策することが可能です。保管の際の湿度を一定に保ち、紙目を意識して丁寧に取り扱うことをコツコツ行うことが、製品のクオリティを高めるだけでなく、無駄な廃棄を減らすことにもつながります。
大倉印刷は、2024年には文京区で創業40年となりました。
培った実績と経験で、短納期案件や少部数から多部数をこなしてきた豊富な実績がございます。
お客様の様々なニーズに応えるワンストップ生産体制にて、印刷、製本加工、納品・発送までの一貫生産都内有数印刷機器の保有数です。
文京区に本社、戸田市に自社工場を持つ利便性の良さをお客様のご要望に最大限活用させていただきたいと思っております。
“紙と湿度の関係”のことはもちろん大倉印刷だからこそ、できる形をご案内いたします。どんなことでも、お気軽にご相談お問い合わせください。
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